第二章 ハル

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第二章 ハル

一、 十月の夜 十月に入ってから、 ぐっと寒くなった。 九月の半ばまでは蒸し暑さが続いていたが、 たった二週間で秋の気候に様変わりだ。 おそらくこの秋も長く続かず、 すぐに冬になるだろう。 俺は車をマンションの駐車場に停めると、 急いで部屋へと向かった。 駐車場はマンションの目の前にあり、 そのほとんどが埋まっている。 俺の部屋は二階にあった。 マンションと言っても二階建てでワンフロアに三部屋あるだけの小さな建物だ。 玄関を開け、 部屋に入ると外よりは幾分、 暖かかった。 独身・一人暮らしのため、 待っていてくれる人がいないことはとても寂しいが、 それでも部屋に帰ってくると安心する。     
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