第二章 ハル

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「お前、今、 何してるの?地元?」 十年ぶりに聞いたトモの声は昔と全く変わっていなかった。 「いや、地元には帰ってない。 大学出てそのまま就職して、 今はペットショップの店長してるよ」 「へえ。ハル、 ペット好きだったもんな。 俺は地元でサラリーマンしてる」 お互いの近況報告を終え、 トモが本題を切り出した。 「結婚式の招待状、届いた? 俺、お前にどうしても出席して欲しくて」 俺は何も答えなかった。 トモは構わずに話し続ける。 「いろいろあったけど、 俺はハルを友達だと思ってる。 お前を傷つけて、 勝手かもしれないけど」 トモの声は真剣だった。 「友達」という言葉に少し胸が熱くなったのと同時に、 細い針を刺されたように痛かった。 「サクラさんにも招待状を送ったから。 良かったら一緒に来て」 トモはそう言うと電話を切った。 十年ぶりの電話にしては短い電話だった。 あの日、 告白したことを後悔なんてしていない。 それでも、 あの告白がなければ俺たちは高校卒業後も連絡を取り合わなくなることはなかっただろう。 俺は今、 このまま一人でいたらどうにかなってしまいそうで、 無意識に携帯のアドレス帳を探しサクラに電話した。 二、 グラウンド あの晩、 サクラに電話した後、 彼女からの提案で俺たちは会うことになった。 場所は二人が通った高校だ。
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