第二章 ハル

5/18

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
なぜ、 彼女がそんなことを言い出したのかは良くわからない。 もしかしたら、 俺の気分を変えようと、 気まぐれに思いついたことを言っただけかもしれない。 高校は俺にとって、 いろんな感情が詰まった場所だ。 小学校も中学校もそうだが、 特に高校は俺の長い恋愛が終わった場所だったからだ。 俺は幼馴染で同性のトモのことがずっと好きだった。 家が近かったため、 小さい頃からよく一緒に遊んだ。 最初は友達だったが、 いつの間にか俺はトモのことを好きになっていた。 きっかけはよく覚えていない。 高校進学のときもトモと少しでも一緒にいたくて、 同じ高校を選んだ。 サクラと出会ってから、 俺とトモの関係は少しずつ変わっていった。 トモがサクラのことを好きになったからだ。 俺が知る限り、 トモが女の子を好きになったのはこれが初めてだと思う。 もちろん、 幼稚園や小学生の頃に好きになった子はいたが、 その恋は学年が変わればすぐに終わるものだった。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加