第二章 ハル

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彼女はどう思うだろうか。 飽きもせずに一人の男を想っている男を。 諦めが悪い、 視野が狭い、 気持ち悪い。 そんな言葉が返ってくるのではないか、 と恐ろしくなった。 「ハルはすごいね」と、 彼女は言った。 俺は耳を疑った。 まじまじと、 彼女を見つめる。 彼女は俺が見つめていることに居心地の悪さを感じているのか、 少し視線をそらして 「…そんなにはっきりと人のことを好きって言えちゃうとことか、 ずっと一人の人を想ってるとことか、 すごいなって」と、 言った。 ああ、 そうだった。 こいつはこういうやつだった。 昔から、 俺はサクラのこういうところに救われていた。
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