第二章 ハル

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「ハルのまあまあは全然ダメってことでしょ」 「…」 彼女にはお見通しのようだ。 「スポーツ推薦落ちたからって自暴自棄にならないで。 今からでも勉強しなよ」 さすが、元生徒会書記係は真面目である。 いつものように冗談で返そうと思ったが、 彼女の目が真剣だったため、 できなかった。 なぜ、 サクラは人のことでこんなに本気になれるのだろうか。 自分だって受験勉強が辛いはずなのに。 俺は彼女の目を見続けることができなかった。 「…サクラはどうなの?」 話題を変えようと質問すると、 彼女は少し考えてから言った。 「私は東京の大学を受けようと思う。 新しい環境で色んな人たちと会ってみたい」 この高校で県外の大学に行く生徒はあまり多くない。 まして東京の大学に行くなんてほんの一握りだろう。
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