第二章 ハル

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「なんで東京なの?」 純粋に疑問に思って質問すると、 サクラは照れながら 「今まで会ったことのない人がいそうだから」と、 答えた。 彼女は、勇敢だ。 見知らぬ世界に飛び込もうとしているのだから。 恐れはあるだろうがそれ以上に、 未来に期待しているのだと思う。 それにひきかえ、 俺は臆病者だ。 失敗すること怖くて、 将来に希望を持たない努力を必死でしているのだから。 「ハルは何がしたいの?」 サクラが尋ねる。 その瞳は澄んでいた。 俺は何がしたいんだろう。 人に言えるほど立派な目標があるわけではない。 大学にだって、 みんなが行くから何となく行こうとしているだけだ。 俺が黙っていると、 サクラは俺を見つめて言った。
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