序章

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「昔と比べて動物の言葉を聞き取れる人間は減ってしまってね。こうして人間とお話をするのは久しぶりだよ」 黒く響く声。 まるで影を引き寄せているような。 まるで夜を引き寄せているような。 そんな黒猫の声。 「もしかしたら、案内人になってから初めてじゃないかな?」 案内人? 「そう。案内人。裏の世界の案内をする者」 裏の世界? 「裏の世界とは闇の住人たちが存在している世界のこと。この世界とは異なる所。でも、意外と君の身近にそれは在るんだ。ただ、見えていないだけ。ただ、視てないだけ。君は視たくないかい?裏の世界を」 黒猫。案内人。闇の住人。裏の世界。 「裏の世界に行ける時間は、夕日によって影が出来ている時。夕日が完全に沈んでしまったら、裏の世界には行けなくなる。さぁ、どうする?・・・ってその顔は、行く気満々だね。ん?どうして、案内をしてくれるのかって?さぁ、それは私にも分からない」 黒猫は言う。     
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