第一話

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 ふわりと魂が浮く感覚と、この上ない温かさとソフトな感触が混ざり合い、まるで天国にいるような錯覚を起こしかけ、このまま幸せのうちに永遠の眠りにつけるかと思い、男はフッと力を緩ませた。  けれど、か弱き女に暴行を加えた挙句、自分の欲を放とうとした男に、そんな安らいだ最期は訪れない。  彼女は男が失神する手前の状態なのを見定めると、彼の手首を持っていた手も離し、その手も触手を握った。 「オイタする子は成π(せいぱい)しちゃうっ」  首を下に向け、自分の胸に顔を埋めさせている男の頭頂部に軽いキスを落とすと、彼女は一気に口である触手を素手で引き千切った。
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