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昆虫のような目からは、その痛みが果たしてどの程度のものなのかは分からないが、彼の悶絶する姿を見れば、理解できた。
いっぱしの男どころか、化け物でさえも、急所は急所なのだと可笑しそうに声を上げて笑っていると、彼女の着ていた真っ黒なレザースーツがグニャリと動いたような気がした。
「アハンッ。もう、ヤッちゃって」
服が動くことによって、敏感な部分が擦れ、つい、喘ぐような声で放たれた一言によって、露出部分が多かったにせよ、彼女の体を覆っていた黒いレザーが、まるで魂をもったタールのように、彼女の体から離れると、男を頭のてっぺんから包み込んだ。
グチャリッ――クチャリッ――
咀嚼するような音と共に、彼の全身を包んでいる黒い塊が上下する。
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