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徐々に男の命は削られているのか、腰を抜かし、口に触手を突っ込まれ、呼吸も困難となっている女の口から、件のモノがズルリと抜け落ちると、それもまた、黒いタールに呑み込まれた。
助けられたというのに、化け物でも見るかのような怯えた目をする女に対し、真っ裸となった女は、冷たい声を出した。
「アナタもヤラれたい?」
言葉の突き刺すような視線から、意味を考えるまでもなく、自分の身の危険を察知した彼女は弾けるようにして、その場から駆け出した。
靴を探し、履く暇すらなく――――
その夜の出来事は、【黒い闇】に溶け込んで、決して世に出ることはなかった。
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