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「おまたせ、面堂くんっ」
三つ編みに眼鏡、第一ボタンまでしっかりと留めた半袖白色ブラウスに、膝丈のスカートといった地味系女子が小走りで近付く相手は、これまた、一番上までキッチリとボタンを留めたブルーのポロシャツをストレートのデニムにインした、真面目を絵に描いたような七三頭の男。
彼は月見ヶ丘公園と彫られた木製の看板に背中を預けて立っていたのだが、彼女の声を聞いて、姿勢を正した。
「待った?」
息を少し荒くした彼女は、面堂の傍まで駆け寄り、小首を傾げた。
彼女とさほど目線の高さが変わらない彼は、男子学生の平均よりも背は低いようだが、惚れた相手に身長など関係ない。
頬を赤く染め、彼女はうっとりとした目をして彼を見つめる。
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