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「んーんーんーんーんーんーんー」
バタバタとその場で暴れると、スライムが形態を変え、人間の顔のような造形を成した。
等身大の人間ではなく、あくまでも『人間の顔』――すなわち、画皮のように、巨大な頭だけの妖怪と化したスライムは、怒ったような顔をして彼女を睨みつけた。
息を飲む彼女は、これから自分の身によからぬことが起きると思い、恐怖で身を縮こませると、彼女の予想通り、化け物は顔を近づけてきて、大きく口を開けた。
“食われる”
思わず目を瞑った、その直後。
想像していた痛みが与えられることはなく、逆に理不尽な理由で盛大に罵られた。
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