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青空が広がる爽やかな朝だというのに、乙川の気分は憂鬱だった。
昨夜、面堂がせっかく心配して、病院に行くよう言ってくれたのだが、そんな気になれないどころか、むしろ、飲み込んだモノがモノだけに、何と言って説明すればいいのか分からないし、下手したら、頭がおかしいと勘違いされるのがオチ。
親にだって、「私、宇宙人に半分寄生されているの」なんて、自分でも未だに信じられないようなことを相談できるわけがない。
一人で思い悩んでいても、朝はやってくるし、登校時間も迫ってくる。
無遅刻無欠席の模範生の意地もあり、仮病で休むわけにもいかず、いつも通り、教室でその日の予習をする余裕をもって家を出たが、学校へ向かう足取りは重い。
“なんで私がこんな目に……”
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