第二話

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 自分の身に降りかかった厄災のせいで一睡もできなかった彼女の口から、欠伸の代わりに何度目かの溜息が漏れる。 “本当に私の中にアイツがいるんだよね?”  眼鏡におさげ。  制服を校則通りに着こなした乙川は、鞄を持っていない方の掌をまじまじと見つめながらトボトボと歩く。  どこもかしこも何ら変わりはなさそうに見えるが、それでも間違いなく体内にはアイツ――ダークゼムが自分の体を乗っ取る事も、他の体に乗り換えることも出来ずにいるのだ。  今朝方までのやり取りを思い出しながら、乙川は掌から顔を上げ、ギュッと歯を食いしばった。  突然、ヘソから出てきた真っ黒なスライム。  顔面妖怪へと変化したソイツは自らの名をダークゼムと名乗った。  彼は、ダマークラカッス星から多くの仲間達と共に地球を侵略しに来たらしい。
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