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悪態をつくダークゼムに対し、乙川は、『ちょっと。アンタ、変なことを言わないでくれる?』と、脳内で文句をいいながら、表では笑顔で、「うん。学校帰りに行くつもり」と面堂に答える。
『嘘つけ。オレのことがバレたら困るのはオマエだし、行けるわけねーだろ』
『馬鹿ね。地球では本音と建て前っていうものがあるのよ! 彼氏を心配させたくない乙女心が分からないの?』
『ワカンネェなぁ。オレらはヤりたい時にヤる。食いたい時に食う。常に欲望を全面に出すからな』
『最低ね』
『裏表があるよりイイだろ』
『いいからもう黙って』
このまま脳内会話を続けていては、面堂との会話が疎かになることを気にした乙川が、強制的にダークゼムを黙らせようとした時だった。
『……匂うな』
『え?』
急に声色を変えた共存者に違和感を覚えた彼女は、その言葉に反応して鼻をクンクンさせて匂いを嗅いだ。
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