第四話

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 変身など、普通の人間では有り得ない。  しかも、化け物の様相を呈している自分を見ても、(ひる)むどころか、淫らに誘うような怪しい女など、いくら特殊な生物だとはいえ、冷静な状態であれば、誰も近付こうなどとは思わない。  だが、既に爆発しそうなほど股間に熱が集まっている男には、理性などカケラほども残ってはいなかった。  あるのは本能のままに自分の欲をぶつけ、吐き出したい。  ただ、それだけのことだった。  二つの餌を前に、未だ一度も発散できていない彼は、獲物の方から“GO”サインを出されたことによって、情動的に乙川へと襲い掛かった。  ベッドの上から高く跳躍した勢いで、彼女に向かって飛びつこうとしたが、彼の両腕から逃れるように素早く身を(かわ)す。
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