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「あぁ、やっぱそっかぁ。おっちゃんそれ最近も使ったろ?」
流識の目が鋭くなる。
声にもドスが聞いてきておっちゃんの声もそれに比例して重く尖り始めた。
「なんざ、気づいてたんで?」
「同類の匂いってのはくせぇもんさ。嫌でもわかっちまう。それにおっちゃん、あんた死臭が鼻につく。だから隣の助手席は嫌だったんで。」
むっと、膨れたおっちゃんの顔は何もかもを語っていた。
人殺しってのは顔に出ちまう。どんなに繕ってもな。
人を殺すことを何も感じず、作業のようにこなすことが出来る奴なんざ俺の知る限りでは赤い請負人だけだ。
それに零崎一賊は人殺し、殺人鬼の集まり。
殺すことがわっちら家族の絆さ。
見間違いや勘違いなんざ、起こるはずもねぇ。
やっぱ、おっちゃん。くせぇよ。
「なぁ、おっちゃん。誰、殺したんだよ。」
「…言う義理があるんか。」
「ないな。ははっ、そうだな。ないな!例えばわっちがおっちゃんを殺して、それを誰かに聞かれてもわっちはなんも言えねえ。だってわっち、おっちゃんのことなんも知らねぇもん。そうだな!通り魔ってのはそうじゃなきゃ成り立たねぇ。いやぁこりゃ、野暮な質問だったな。ゴメンな。」
早口で笑いながら喋るわっちにおっちゃんも何ら恐怖というのを感じたようで、持った銃に力が入ったのがわかった。
「もういい、死ねや。兄ちゃん。」
銃声が夜に響き渡って、安息を断ち切る。
安全な夜なんてない。暗闇っていうのはそういった汚いものまで消そうとする。
だけど本当に汚いものは暗闇でさえもはっきりと見えてしまうもので。
ほぉら、ここに汚い殺人鬼が2人。
わっちが見えるかな?
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