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『聞こえ……ますか……?』
「誰だあんた……? 姿が見えないようだけれど」
ついでに、声の元もわからない。前から声をかけられているようで、後ろから声をかけられているようでもある。矛盾しているようだが、実際そうなのでしょうがない。
『あー、テステス。よしよし、どうやら繋がってくれたみたいですね。初めまして! 私は、神です』
随分とフレンドリーな神様だった。あまりに軽々しいので、クラスメイトかなにかの悪戯かと邪推してしまう。しかし、何となく、直感的に目の前のそれが【本物】だという確信があった。
「神って……凄く馴れ馴れしい感じだけれど、それで良いのか」
『ふふふ、神は偶像。つまり人によって見えかたと在り方が違うものですよ? 馴れ馴れしく聞こえるのなら、貴方の中の神様像がなんかまぁ、そんな感じってことです』
定義が雑にも程がない?
観測出来ないもの、あるかないかも知れないもの。文字通りの偶像なわけだし、そういうものなのかも知れない。
「はぁ……じゃあまぁ、それは良いとして、ですね。神様は何だって俺なんかにお声がけなさった訳なんです?」
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