始まりから終わりまで

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『問題ありません!! ほら、言うじゃないですか。インシャラー(神のお導きのままに)って。私が何をする事も、阻む者はいませんとも』 「それ貴方のとこの神様じゃないですよねイスラム圏ですよねぇ!」 『あれ、知りません? キリスト教とイスラム教で祀られてる神様は唯一神という存在で同義ですんでセーフです。キリスト教とかイスラム教とかはあれ、ほら……ただの解釈違いなんで……』 「解釈違い」  思わず鸚鵡返しをしてしまった。さっきからこの神問題発言しかしてねえな?  さておき、これは……バレンタインという地獄に垂らされた、一本の蜘蛛の糸だ。蜘蛛の糸は仏教だが。 「…………実は僕、この日はいつも心を痛めているのです」 『ほうほう?』 「ご存知、この日は聖ウァレンティヌス司祭が極刑に処された日な訳ですが……僕の住む日本とくれば、いい機会だと言わんばかりにチョコレート会社の経済戦略に乗っかってバカ騒ぎ。あまりに愚かしいと思いませんか」 『ふむふむ』 「で、ですよ。思うわけですよ。何千年前か知りませんがつまり! ウァレンティヌス様さえお亡くなりにならなければ、と! あれ程までに尊く、清らかで敬うべき誠実さを持つ人が死んでいいのか!? いや、良くない、と!」     
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