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『んー、成る程ー。でも彼は死んだからこそって所がありますからねぇ。彼の尊く清らかな死が、どれほど多くの人の心を打ったことか、貴方にも判るでしょうに』
「そこはほら、僕が手ずから天使とでも銘打って救いに行けばそれはそれで伝説になりますよ」
『ふーむ。つまりなんです。貴方はタイムスリップしてウァレンティヌス様を助けたいと?』
「まぁ、叶うのであれば……駄目ですかね。やっぱバタフライエフェクトとか?」
バタフライエフェクト……過去改変ものの物語でよく名前の出てくる効果だ。簡単に言うと、昔で起こした些細な変化が大きな歪みとなって、未来に多大な影響を及ぼすこと。まして、僕が変えようとしているのは小さな変化とは言えないほど大きいものだ。
嘘八百、口から出まかせでなんとか話を聞かせるところまでま漕ぎ着けたが、ここまでか……?
『いんや、大丈夫ですよ。まぁアレがありますから。歴史の修正力。つまり歴史はある程度……誰が産まれたか、何があったか。多少過程は異なれど、終着は同じ所に着くように出来てますから。ですから、貴方がどうしてもと言うのなら、その願いを叶えてあげられます。どうしますか?』
「それは……」
つまり俺が何をしようとも、バレンタインは消えないのか……?
「…………いや! どうしても!!」
頭に浮かんだ疑念を払う。
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