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底抜けに明るい陽射しが地面を照りつけていた。きみはうんざりしたように空を見上げる。長袖のワイシャツが暑苦しかった。
バス停にはサラリーマン風の男の人たちがいるだけだった。すぐ近くにはJRの駅があり、市内のほとんどの高校は自転車か電車で行くほうが効率的だから、このバス停を使う高校生はあまりいなかった。
でも、市外なら話はべつだ。こっちへ歩いてくる制服姿の男子を見つけて、きみは目を細めて見つめた。隣町の私立高校だった。目をそらし、小さく息をつく。
なにを期待しただろう。
朝練が忙しくて、毎朝五時起きです―彼はSNSにそう書いていた。八時五分前のバスに乗るはずなどなかった。
わたしももし五時に起きて、六時過ぎのバスに乗ったら、あいつに会えるかな?
考えてから、きみは自嘲めいた笑みを浮かべた。
―もうあの頃みたいに、無邪気じゃいられない。
バスが停まる。
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