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「うっ……えっと……。幸太ってさ、見た目とかじゃなく男らしいじゃん、頼れる兄貴みたいな。優しくて強いみたいな。ほらさっき黒板消してやったみたいに女子をさっと助けに行く所とかさ。それでいて悪いところはきちんと注意するし。お前のそういう所、俺はすごく好きなんだ、あ、いや、変な意味じゃないぞ」
「分かってるよ、美保ちゃんだろ。そのくだりはもう聞いたから」
「あ、うん。とにかく、お前は男が惚れる男だって言いたくて……、いや惚れるって言っても恋愛的じゃなくて……」
一生懸命話すけんじを見ていると、もうどうでも良くなってきた。ようするに、俺はこいつに嫌われてないんだな。
なんか昨日の事で一気に人間不振に陥ってしまったみたいで、嫌われてないと分かっただけで少しだけ浮上した。
「もういいよ。悪い意味で言ったんじゃないって分かったから」
「………お前に嫌われなくて良かった」
けんじが安心したようにはぁーと大きくため息をついた。
それにしても、なんでけんじに彼女が出来て俺には出来ないんだ?そんなに誉めるなら俺の方がモテる筈なのに。
小さくブツブツ呟いていると、「そりゃ道弥といるからだろ」とけんじが教えてくれる。
「幸太は見た目そんなに悪くないけど、道弥といるとどうしても道弥の引き立て役になるから」
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