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「あれはよくて僕はダメなの?」
「……………」
すかさず葛城に突っ込まれて黙り込む。あいつらはよくて葛城がダメなのは変だしな。
「おーい、高梨どうするんだよ。行くだろ?」
「パーっと騒いで嫌なことは忘れようぜ。お前も仲間だろ。くそー、けんじのやつ幸せそうな顔をしやがって」
どうやらチョコを貰えなかった寂しい男達でカラオケに行くらしい。それにしても、恥ずかしすぎる。
「ねえ、高梨君?」
「………いいよ。だけど返すかどうかは俺の好きにするから」
「うん、それでいいよ」
ニコニコしている葛城を残して、校門まで走る。
「お前らうるさい」
「ごめーん」
「俺は行かないからな」
鞄から小さなチョコの包みを取り出すと、煩かった奴らは口をパクパクしながら驚いている。
「高梨も、もらってたのか………」
「裏切り者」
そう力なく呟くと、男どもは肩を落として歩き出した。俺が葛城からしかもらってないと思い込んでたんだな。
これ道弥の彼女にもらった義理チョコなんだ。まあ反則だけど、煩かったから反省しろ。
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