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紙袋を差し出すと、千葉はぷっと吹き出した。
「倭が言ってた通りだ。まっすぐでハッキリしてるって。でも、1つ間違ってるよ。君に頼んだのは、面倒だからじゃないよ。ほら」
千葉はメッセージアプリを開いて葛城とのやり取りを見せてくれた。
『大丈夫か?』
『大丈夫。ただの風邪だから。心配かけてごめん』
『いや、いいけど。昨日まで元気だったからビックリした』
『うん、帰ったらダルくて熱が38度くらい出て、念のため医者に行ったらインフルエンザではないって。昼からはもう平熱だけど咳がやばい』
『そうか。まあインフルじゃなくて良かったな』
『ああ。でも、しばらく高梨君に会えないのは寂しい』
『寂しいって連絡すれば来てくれるんじゃないのか?』
『いや。だって、連絡先知らないし』
『えっ、あんなに毎日高梨君、高梨君って騒いでるのに?』
『うん。でも、ちゃんと返事が貰えたら連絡先も聞くつもりだから。だから、今は会えなくても我慢するよ』
「な、君に会いたがってるだろ?」
「…………」
そう言えば、俺、挨拶をちゃんと返さないばかりか告白の返事さえ返してないのか……。
「分かった。俺が持っていくよ。住所教えて」
「あっ、そうだよな。てっきり知ってるって思ってた」
千葉に聞いた住所は俺が利用している駅から少し先に行った所で、いつもより少し回り道をする程度だと分かった。
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