それからの日々

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葛城の家は住宅街にある一軒家だった。オレンジの屋根の可愛い外観は、お菓子作りが得意な葛城によく似合っている。 そう言えば、ケーキのお礼もまだ言ってなかった。葛城からもらったのは、ガトーショコラというケーキでシンプルながらしっとり濃厚で美味しかった。 俺、葛城に対しては本当にダメダメだな。公開告白されたり、クラスに押しかけられたり、大声で挨拶されたりと思ってもなみい方法で好意を表してくれるので、ペースが乱されて本来やるべき事や言うべき事が頭から飛んじゃうんだ。 ━━もし葛城に会えたらまずケーキのお礼を言い、それから付き合えないとはっきり断ろう。 インターホンを押すと、中から「はーい」とちょっと高めの声が聞こえた。 「高梨と申しますが、葛城君は……」 「あ、倭のお友だちね。ちょっと待ってね」 声が更にワントーン上がり、玄関のドアの向こうから優しそうな女の人が出てきた。お母さんなんだろうな。優しそうな雰囲気が葛城に良く似ている。 「もしかしてあなたは、入試の時に倭を助けてくれた高梨君?」 「………はい」 「そうなの?あの子が高校生になれたのはあなたのお陰よ。ありがとう」 お母さんにまで深々と頭を下げられてビックリして否定する。 「いえ、俺は大したことしてませんから気になさらないでください。それで、葛城君の具合はどうですか?先生からの書類を預かってきたのですが、会えますか?」 「あ、やっぱり倭の言ってた通りね。高梨君はまっすぐできっぱりしてて優しいって」 葛城、お母さんにまで何を言ってるんだ………。
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