それからの日々

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***** 月曜日。予想に反して挨拶は続いていた。 「幸太くーん、おはよう。木曜はお見舞いありがとう。僕はもう大丈夫だから、安心してねー」 「あれ、この前まで高梨君じゃなかったか?それにお見舞いって……」 道弥が聞いてくるが、聞きたいのは俺の方だ。 あの日きちんと言葉には出来なかったけれど、葛城に俺の気持ちは通じたと思いこんでいた。だから申し訳なく感じたし、葛城を思うと辛かった。 なのに……いきなり名前呼びになってるし、いつもより長いし……。一体どうなっているんだ? グタグダ考えるのは性に合わない。 「ちょっと行ってくる」 道弥に鞄を渡して、葛城のいる渡り廊下まで走った。 「えっ、もしかして会いに来てくれたの?」 そんなに嬉しそうにされたら、文句言いにくいじゃないか。まずは挨拶して……… 「おはよう。元気になって良かったな」 「うん。幸太君が来てくれたお陰だよ」 「いや俺は何にもしてないよ」 「でも、嬉しかったんだ。ほら、病は気からっていうだろ。幸太君に会えて僕の風邪が治ったと思うんだ。ありがとう」 いや、だから………。何で葛城といると言いたいことが言えないんだろう。 「あのさ、幸太君って………なんで?」 「ダメかな………」 そんな捨てられた子犬みたいな顔するなよ。 「ダメじゃないけど……」 「良かった。平気そうにしてたけど、実はドキドキしてたんだ」 「…………」 ━━だからそんな顔されたら、何も言えなくなるだろ。
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