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普段はペットボトルの回し飲みさえ嫌がる俺がこんなことしてるなんて……。
頭の隅で驚きながらも、体は気持ちよさに溺れていく。最初はされるままだったのに、いつの間にか俺も舌を絡ませて必死でキスに答えていた。
世界から音が消え、俺達の荒い息づかいとクチュクチュという淫らな音だけが耳の奥に鳴り響く。
どうしよう。こんなに気持ちいい物があるなんて知らなかった。
もっともっとと気持ちは高まるが、酸欠のせいか頭がぼんやりしてきて膝からガクンとくずおれた。
倒れなかったのは、葛城が大きな手で支えてくれたからだ。
「………あり、がとう」
「ううん。それより初キスはどうだった?」
どうって、良かったに決まってる。だけど、それを素直に認めるのが悔しくてフイと横を向いた。
「なんかお前、慣れてるなぁ」
「何それ。ヤキモチ?」
「バ、バカ、ヤキモチなわけないだろ。ただ男として悔しいというか………」
「気持ちは良かったの?」
「…………ああ」
「そう、良かった」
あんなに濃厚なキスをした葛城が、心からホッとしたように笑った。その笑顔がとても綺麗で、見ているだけで泣きそうになった。
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