青天の霹靂

2/18
514人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
母さんを見送った後、父さんと二人で朝食の続きを食べた。 「なぁ、幸太。もしおじいちゃんの足がこのまま使えなくなったら、父さんが継ぐかもしれない」 え………。 起き抜けでぼんやりしていた頭が、やっと回り始めた。 父さんがみかん農家を継ぐ?それって………。 「引っ越すってことだよね?」 「まあ、そうなるな。ごめんな」 「あ、別に…………」 いつかこんな日が来るのは分かってたが、まさかこんなに早いとは思わなかった。 父さんはみかん農家の長男として生まれた。その頃は祖父の両親、祖父と祖母の4人でみかんの世話をしていたらしい。 父はみかん農家の仕事が大好きで、将来は家業を継ぐつもりでいた。けれど、高校生の時祖父に反対されたらしいんだ。 年々みかんの消費が減りみかん農家の収入は減る一方だ。だから、もっと稼げる仕事につけと言われたらしい。 本当にその通りで父は渋々祖父の言葉に頷いた。 それで父は思いきって田舎を出て、こっちの大学に進学し就職した。それから母さんと社内恋愛の末に結婚し俺が生まれたんだ。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!