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校門を出た時、後ろから走ってくる足音が聞こえた。
「幸太君待って、一緒に帰ろう」
「葛城、部活は?」
「今日は休み。料理部は月、水、金の3日間だけなんだよ」
「そうなんだ」
「今日は森下は一緒じゃないの?」
「あいつはデート」
「へえ、いいな。ねえ、僕達もデートしようよ。ダメ?」
デートか。自分の事となるとちょっと恥ずかしい。でも、このまま家に帰ってもソワソワ落ち着かないだけだろうからいいかもしれない。
「いいよ。俺デートなんて初めてだから、葛城に任せてもいいか?」
「僕とが初デートだなんて嬉しいな。頑張るよ」
道弥と同じで葛城も嬉しそうに笑っている。たぶん俺も同じように笑ってるんだろう。好きな人とデートできるって、こんなに嬉しいんだ。
偶然だけど、経験できて良かった。
「幸太君は何時くらいまで大丈夫?」
「時間?今日は両親いないから夜まで大丈夫だけど」
「やった、じゃあ一緒に夕飯食べようよ。ねえ、僕の家に来ない?幸太君の好きなもの作るよ」
あれ、葛城って料理出来るのか?確かパティシエ希望だった気がするんだが。
「料理出来るの?」
「うん、好きだよ。和洋中なら大抵の物は作れるよ。もちろんデザートも」
「すごいな」
素直に感心すると、葛城が恥ずかしそうに頭をかいた。
「そんな風に素直に誉めてもらえると照れるよ。幸太君は男の癖にって思わないの?」
「そんな事思わないよ。というか料理を職業にしてる人のほとんどは未だに男だし」
「確かに。やっぱり幸太君はすごいな」
もしかしたら葛城は、料理や菓子作りが好きな事に少し引け目を感じていたのかもしれない。
「すごいのは葛城だよ。料理ができるなんて羨ましいし尊敬する。そうだな、寒いから温かい物が食べたいな」
「嫌いなものはある?」
「強いて言えばセロリ。後パクチーとか」
「了解。じゃあ、グラタンとかは?」
「ああ、すげー好き。それでお願いします」
何故か真っ赤になった葛城がコクコクと頷いた。
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