青天の霹靂

10/18
前へ
/111ページ
次へ
何だか落ち着く。 葛城は台所でグラタンを作ってくれていて、お母さんは小説の続きを読んでいる。時折フフッと笑っている姿が微笑ましい。俺がいても変わらない日常に妙な心地よさを感じながら、俺はコーヒーをゆっくりと味わった。 「幸太君、退屈じゃない?」 「いや、全然。なぁ、料理するの近くで見てもいいか?」 葛城が菜箸をコロンと落とした。やっぱり邪魔だよな。 「大丈夫か、話しかけてごめん。やっぱ止めとくよ」 「ううん、大丈夫。幸太君さえよければこっちに来て手伝って欲しい」 やっぱり葛城は優しいな。 俺はその優しさに素直に甘える事にした。 「グラタンの素とか使わないの?」 「うん。ホワイトソースって小麦粉と牛乳とバターがあれば簡単に出来るからね。量も固さも調節出来るし」 「へえ、知らなかった。すごいな」 「すごくないよ。後はこれをお皿に分けてチーズとパン粉をかけて焼くんだ」 作り初めてまだ30分も経ってないのにグラタンもほぼで来ているし、サラダも作ってある。本当に手際が良くてびっくりだ。 俺はチーズとパン粉をかけるのを手伝っただけだが、葛城の気遣いがすごく嬉しかったんだ。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

514人が本棚に入れています
本棚に追加