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何だか落ち着く。
葛城は台所でグラタンを作ってくれていて、お母さんは小説の続きを読んでいる。時折フフッと笑っている姿が微笑ましい。俺がいても変わらない日常に妙な心地よさを感じながら、俺はコーヒーをゆっくりと味わった。
「幸太君、退屈じゃない?」
「いや、全然。なぁ、料理するの近くで見てもいいか?」
葛城が菜箸をコロンと落とした。やっぱり邪魔だよな。
「大丈夫か、話しかけてごめん。やっぱ止めとくよ」
「ううん、大丈夫。幸太君さえよければこっちに来て手伝って欲しい」
やっぱり葛城は優しいな。
俺はその優しさに素直に甘える事にした。
「グラタンの素とか使わないの?」
「うん。ホワイトソースって小麦粉と牛乳とバターがあれば簡単に出来るからね。量も固さも調節出来るし」
「へえ、知らなかった。すごいな」
「すごくないよ。後はこれをお皿に分けてチーズとパン粉をかけて焼くんだ」
作り初めてまだ30分も経ってないのにグラタンもほぼで来ているし、サラダも作ってある。本当に手際が良くてびっくりだ。
俺はチーズとパン粉をかけるのを手伝っただけだが、葛城の気遣いがすごく嬉しかったんだ。
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