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中学三年からは、自分などが隆にチョコレートを渡すのは無理だと思い、鞄の中には入れているが、渡そうともしなかった。 渡せなかったチョコレートはいつもホワイトデーに自分で食べた。小遣いを貯め、頑張って買ったチョコレートだ。 「美味しい・・・」 いつもスーパーで88円で買っているチョコレートよりは遙かに美味しい。 だが、虚しかった。 そんな、結菜が今年チョコレートを渡そうと思ったのは、玲奈の言葉が切っ掛けだった。 玲奈は美人で活発でとても目立つが、遊び回るような性格では無く、まじめで大人っぽかった。優柔不断で引っ込み思案の結菜と違い、行動力があった。仲が良かったので、良く玲奈が結菜の相談に乗っていた。結菜もどっちが姉か判らないと思いながら、ついつい、母親よりも頼りにしていた。 2週間前、玲奈が今年はチョコレートを渡す人がいないと言ったので、結菜も名前は出さず、ずっとチョコレートを渡せずにいる人が居るが今年も渡さないと思う、と言った。 「どうして渡さないの?」 「素敵な人で、私なんか無理。渡すだけ無駄よ。玲奈は何故渡さないの?」 「渡さないのでは無く、渡したいと思う相手がいないの」 「それより、ユナちゃん(玲奈は結菜の「い」を抜いてユナと呼んでいた)、渡したい相手がいるなら渡さなきゃダメよ」 「だって、絶対無理だもの」 「無理がどうか判らないじゃ無い。」 「でも・・・」 「あのねユナちゃん、このまま渡さなかったら、結局は付き合えないままだよね。それって、振られた事と結果は同じじゃない? 断られるのが恐い? でもね、このまま渡さなくて、見守るだけだと将来絶対に後悔すると思うの。それに、どうせダメなら早めに判った方がいいと思うのだけど」 「・・・・」その通りだったが、やはり勇気が出なかった。 「私も真剣にチョコレートを渡したい相手がいたんだ。去年渡したけど、受け取ってもらえなかったの」と言った。 玲菜のチョコレートを受け取らない男の人がいるんだと、結菜は驚いた。 「玲奈はそれでよかったの?」 「うん、そりゃ、その時はショックだったけど、スッキリした。良かったと思っている」
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