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だからバレンタインデーなんか大嫌いなんだ。
本当に好きな人にチョコをあげる勇気がないから。
明後日は2月14日が来る。
去年はパスしたバレンタインデーだ。せっかく憧れの先輩とラインのID交換まで漕ぎ着けた(正しくは同じ部活の先輩に協力してもらった)のに、周りに「もうすぐバレンタインデー来るんだからチョコあげなよ!」とせっつかれてげんなりした。
結局、大好きな先輩の為のチョコは作ったけど周りに言われたからあげる、という感覚が嫌であげなかった。
でも、本当はあげる勇気が無かった。
嫌な顔されたらどうしよう。いらないよ、と言われたら立ち直れない。
マイナス思考な事ばかり考えてしまい、結局出来上がったチョコは弟にあげた。
でも今年こそは。
「今年こそ…あげたい…かも。」
先輩とのラインをしながら呟いた。
先輩が甘いものが好きな事は去年聞いていた。
翌日、製菓を扱っているお店に行き、チョコを作る材料を購入した。今年は気合いを入れてマカロンも作ることにした。
トリュフとマカロンを作り、ラッピングも可愛くして、明日に迫ったバレンタインデーの為にまた気合いを入れ直した。
バレンタインデー当日。
直接渡すのは怖くて、下駄箱に入れる事を先輩にラインで伝えた。
学校に着き、人目が無い事を確認して思い切って先輩の下駄箱を開けた。
綺麗な下駄箱だった。
靴が入っていない上段の空いていたスペースに入れた。
心臓がドキドキと鳴ってるのが嫌でもわかる。
下駄箱を閉めて、教室に戻った。
学校から帰宅し、先輩からのラインを待っているとスマホがピコンと鳴った。
ドキン!
心臓が高鳴る。
確認したいけど…怖い…
なんて言って貰えるかな…?
恐る恐るスマホをタップすると、そこには名前の所に『弟』と書かれたラインが入った。
『姉ちゃん、今年はチョコないの?』
思わず身体の力が抜けた。なんだこれ。
「あんたにあげるチョコなんてない!」
すぐに返事を返した。
また先輩からのラインを待つ。片時もスマホを離さなかったが、いつになっても鳴らなかった。
やっぱり駄目だったか…気に入って貰えなかったんだ。頑張ってあげるんじゃなかった。
やっぱり…バレンタインデーなんか大嫌いだ。
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