本編

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今日は私にとって、特別な日だ。 いや、そうなる予定だ。 瑠璃色の青空が広がり、白い雲は小さなアクセントのように浮かんでいる、そんな麗らかな春の日。 今日は私の26歳の誕生日だ。 そして、今、向かっているのは彼の家。 付き合って、約3年になる彼氏、(すめらぎ)侑李(ゆうり)29歳。 私が務める会社に4年近く前に転職してきた人だ。 黒い髪は本人の性格を表すかのように真っ直ぐで、硬いかと思いきや、触るとサラサラしていて、指通りもいい。 凛々しい眉に、二重のぱっちりした目。その目はよく見ると、綺麗な琥珀色(アンバー)だ。 それは光を反射すると、吸い込まれそうなほど美しい色になり、ついつい見蕩れてしまう。 背は高く、一見細身に見えるが、実は筋肉質であるところも、私の心を大いに刺激してくれた。 しかも、見せるための筋肉というよりは、使うための体幹から鍛えられた筋肉というのが、より美味し……かっこいい。
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