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そんな王子様のような仕草が似合い過ぎて、私の身体も心も雁字搦めにされてしまう。
でも、ちょっと待って。
誤魔化されてはいけない。何か予定外のことを言ったな、と何度か瞬きを繰り返してみたが、侑李は冗談を言うような人ではない。
「えっと、そこは遠いの?」
もちろん侑李となら、どこでも生きていけるが、両親と離れるのは些か寂しい。
それに今の仕事だって、急には辞められないだろう。
「そうだね、遠いけど大丈夫だよ」
「遠い、んだ。そっか、でも、侑李となら大丈夫だね」
寂しいとは思うけど、侑李と離れるなんて考えられないから、心を決めるべきだろう。
それに準備期間にしっかり親孝行して、里帰りだってすればいい。
今生の別れでもあるまいし。
「じゃあ、行こうか」
「え?」
「僕の故郷に」
「えぇ?! 今から?」
「そうだよ、実はもういろいろと進めてあるんだ。花菜を逃がすつもりはないからね」
「で、でも、両親とか仕事とか」
「それは問題ないよ。根回しはしてあるからね。花菜は安心して、僕に捕ま、任せてくれたらいいよ」
待って、なんだか不穏な単語が入り込んでた気がするけど、まあ、今は置いておこう。
それにしたって、プロポーズは期待していたけど、想像より話が進んでるらしい。
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