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舌打ちとため息を交互に、警官2人は三幸を倒れてきた木材でも適当にあしらうようにしてどかして事後処理に移る。応援を呼び、現場写真を撮り、壁などにめり込んだ弾丸を回収。15分も立てば、そこには三幸だけが残されていた。毎日のように発砲事件があるのだ、警察も熟れている。
まるで何事も無く店から出てきたみたいに。でもその手にあるビニール袋に入った弁当はぐちゃぐちゃだ。
店から女将が出てきて心配の声をかけると、やっと自分の身に起きたことを実感し、足に力が入らなくなる。軒下の古いベンチ腰掛けて鼓動の高まりが静まるのを待つ。
女将がくれた紙コップに入ったお茶を飲み干し、握り潰す。
「だから銃は嫌いだ。銃を持ってる奴も! みんな!」
彼の言葉は、誰にも届かない。
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