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お決まりの通り、近くで騒ぎを起しているらしく発砲音や雄叫び、悲鳴が反響して聞こえてくる。サイレンも近づいてくる。でもそれは遠ざかっていく。
「三幸きゅんはこの工場に入って行ったみたい。……パン工場! いいなぁ、きっと良い匂いするんだろうなぁ」
となりの建物の屋上から見下ろすKQ《キラークイーン》。昼間も着ていた真っ赤なローブを今も身にまとっている。耳障りな那須野の声に顔をしかめる。
「ブーツのそこに仕込んだ発信器が上手く彼の皮下に刺さって良かったよ。3日で体内に吸収される安心設計。特許申請中。いやぁ、彼もやるけどうちの女王様も抜け目がありませんなぁ」
「……中には何人いる」
「はいはい、12人ですよ。三幸きゅん入れれば13人。そしてあなたで14人」
「了解。……準備は?」
「万事用意済みにございます、女王陛下」
「よろしい。では参ろうか」
何も無い虚空へと足を伸ばすKQ。
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