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5th Shot : Rat 5
「ディアメン繊維で作ったローブは本来弾除け用に作ったんだけど、女王様にかかると欺瞞用のスクリーンに変身しちゃうんだもんなー」
那須野のぼやきがインカムからこぼれる。
銃声が鳴り響く倉庫。太い柱の後ろで、オリジナルの銃を両手に持ちながらキラークイーンは膝をつきながら隠れていた。
チンピラ共が撃っているのはKQの映像。逸れた弾が小麦粉の袋を盛大に吹っ飛ばし、辺りは白煙に包まれた。
全員撃ち終わるとそれぞれ弾倉を替えて、再び構える。
煙が鎮まるのを待つ。サーチライトのように拳銃のフラッシュライトが倉庫の中を照らす。
「……出られない」
今出ていけば、穴だらけにされた小麦粉袋と同じになってします。
「だ か ら、背中のそれを最初に使えって、いったよね。いいましたよね」
「……うるさいから聞いてなかった」
「これだから女王様はっ、人の話を聞けよ!」
「黙れ」
「はい、すいませんっした!」
KQは背中にかけた筒のようなものを体の前へ。
「グレネードランチャーだから正確に狙う必要ないかんね」
柱から筒だけを出し、ボタンを押す。
ポンッ、と小気味いい音を出し、弾が射出される。
次に、バリッと電撃音が響く。すると黒い鼠共のフラッシュライト、トラックのヘッドライトがたちまち消えてしまった。
「指向性EMPグレネードの威力、どうよどうよ。ほら、もう一つのトラック、ブレーキライトが消えてないでしょ。限定された範囲の電子機器がダウンすんの」
暗闇に包まれた倉庫で動揺するチンピラをよそに、KQはゆっくりと立ち上がる。
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