Second Shot : Rat 2

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「助けてくれて……助けてくれたんだよね?」 「……さぁ」 「とにかく、あぁりがとう! 今お礼できるものがこれしかなくて、受け取ってくれますか」  中身は鮭弁とパックの唐揚げ、広げて見せる。すると彼女は袋を覗き込んできた。その姿を改めて見た。ピーコート、マフラー、ともに白。薄ら雪が降り出し、寒さが増して彼女の頬は赤く染まっている。  ああ、助けてくれたこの子はもしかして天使かなにかなのかな。そんなふざけた心の声が自然と出てしまう。 「あ、カラアゲ、私、これ好き」  勇のイントネーションが少しおかしいこの声に、三幸の鼓動が早くなる。 「それは良かった。どうぞ、受け取って」  勇は受け取った後、動かない。目を合わせられずにいたため、なぜ動かないのかすぐには気づけない。チラリ見てみると勇の視線は別に向いていた。倒れていた青年が動き始めたのだ。  やばい、逃げないとと思った時には彼女はもういなくなっていた。  その後、走ってその場を後にして家に帰り、その日起きたことを夢に見るほど考えていた。そして翌日、通学路に彼女を見つけ、同じ制服姿であることを知ってしまえば、三幸は自分を護ってくれた天使を目で追わずにはいられないのだ。
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