きみのチョコをぼくにちょーだい

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きみのチョコをぼくにちょーだい

「もうすぐバレンタインだよねー」 「ねー、今年はどうする? 手作り? それとも買いに行く?」 「悩んじゃうなー」  クラスメイトの浮かれた声が聞こえてくる。 「そっか、もうすぐバレンタイン……」  スマホのカレンダーを見て、私は小さくため息をついた。  バレンタインなんて嫌いだ。  昔っからバレンタインにはろくな思い出がない。  あれは小学6年生の頃。  初めてのバレンタインにチョコをあげたい人が出来た。隣のクラスの堤君。  レシピを見ながらへたくそながらも味は上手く出来た。ラッピングだってなかなかの出来栄えだった。あとは包み君に渡すだけ――そう思って冷蔵庫に入れておいたチョコは、翌朝パパに間違えて食べられていた。  気を取り直して中学一年の時。憧れの先生にバレンタインチョコを渡そうと、ちょっとおしゃれなお店にチョコを買いに行く途中――車に轢かれてそのまま入院。一時は意識不明の重体にまでなったらしい。     
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