きみのチョコをぼくにちょーだい

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 照れくさそうに倉敷は笑うけど……私は溢れる涙を必死に拭いながら首を振ることしか出来なかった。 「――ね、それ俺のチョコ?」 「あ……」  握りしめていた小さな箱を、倉敷は指差す。 「食べてもいい?」 「うん……」 「嬉しいな」 「……待って!」 「え、何?」  受け取ろうとした倉敷の手から慌ててチョコの包みを取り上げると、不服そうな声が聞こえてくる。だって……。 「本当に、アレルギーとかない?」 「ふっ……」 「笑わないでよ! こっちは真剣なんだから!」 「ないよ」  可笑しそうに笑いながら倉敷は私の手からチョコの包みを取る。 「あ……」 「アレルギーもないし、何ならここに座って食べるから階段から落ちたり車に轢かれたりもしない」 「うん……」 「ね、食べていいかな」  その言葉に小さく頷くと、ありがとうと微笑みながら倉敷は丁寧に包装紙を開けていく。 「アーモンド! ホントに作ってくれたんだね」 「倉敷ほど上手じゃないと思うけど……」 「そんなことないよ」  いただきます、そう言って微笑むと倉敷はチョコを一つ口に入れた。 「美味しい」 「本当に……?」 「今まで食べたどのチョコレートよりも一番美味しい」  お世辞だと分かっている。不格好だし、お店で売っている方が絶対美味しいに決まっている。 「……来年」 「え?」     
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