きみのチョコをぼくにちょーだい

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「来年は今年よりももっと上手に作るから……また受け取ってくれる?」 「当たり前だよ」  もう一つチョコを頬張ると、倉敷は嬉しそうに微笑んだ。 「――そういえば、さ」 「え?」  最後の一個を口に入れると、倉敷は私に尋ねた。 「まだバレンタインは嫌い?」 「……嫌い」 「そっか……」  仕方ないよね、なんて言いながら少し残念そうな表情を見せる倉敷がどこか可愛く見えて……。 「――嘘だよ」  悪戯っぽく笑うと、私は教室に戻るため隣を歩いていた倉敷の方を向いた。 「大好き!」 「ちょ、朝倉!? 今のって……え?」  慌てる倉敷を残して、私は屋上から走り去る。  来年のバレンタインにはとびきりのチョコを持って、倉敷の元に行こう。  バレンタインじゃなくって、倉敷のことが大好きだと伝えるために。
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