きみのチョコをぼくにちょーだい

2/11
前へ
/11ページ
次へ
 それでも諦めずに中学二年の時、今年こそは……! と思って隣のクラスの片岡君を呼び出した。ちょっと恥ずかしそうに受け取ろうとしてくれた片岡君の目の前で転んで……チョコレートごと川に流された。真冬の川は冷たかった。  そろそろ嫌な予感はしていたけれど、でもでもやっぱりバレンタインは恋する乙女には外せない!  高校が別々になることが分かっていた中学三年のバレンタイン。応用クラスの竹下君は手作りじゃないよね? なんて確認しながら私のチョコを受け取ってくれた! この数年、一度も好きな人にチョコを渡すことが出来なかった私は、少し嫌そうな竹下君の態度なんて気にならないぐらい舞い上がって家に帰った。 ――翌日、竹下君が重度のアレルギーを発症して入院した。どうも私が渡したチョコの中に、体質的にあわない材料が使われていたらしい。  極めつけは一昨年。高校一年の時。バレンタインとは関係なかった。関係ないはずだった。ただ、たまたま二月一四日に甘いものが欲しいという友人男子にポケットの中に入ってたチロルチョコを渡したのだ。……結果、渡した相手が目の前で階段から落ちていくのをまるで悪夢でも見ているかのように見届けてしまった。  幸い数段だったので大事には至らなかったけれど……でも、なんてバレンタインに嫌われているんだろうと思った。何かの呪いなんじゃないだろうか。バレンタインにチョコを渡すと誰かが不幸になる呪い。     
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加