きみのチョコをぼくにちょーだい

　この捨てられたような子犬の目で、いったい今まで何人の女の子を落としてきたのだろう。でも、私だって立派な女の子。こんな目で見られてほだされない訳がない。

「……あんたが」
「え？」
「あんたが今年のチョコ0個だったらあげるわよ」

　絶対そんなこと有り得ないって分かってていう私は本当に可愛げがない。でも、そんな私の言葉に倉敷はパッと顔を輝かせた。

「ホント？　じゃあ、俺アーモンドが入ってるやつがいいな！」
「なっ……だから、0個だったらって……」
「うん、0個だったらくれるんだよね。だからアーモンドが入ってるやつ」
「倉し――」
「楽しみにしてるからね」

　そう言って倉敷はもう一度笑った。