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「プッ。キュー○ー人形にか?」
高砂君が吹き出す。
「え……キュー○ー人形?」
「マヨネーズの人形だよ。渡瀬、知らないのか?」
「騙したの?」後ろを振り向く。
「なつみは私が描いたキュー○ー知りませんでした。なつみに本気でバレンタインして欲しかったのです」
あららが泣きそうな声で俯く。
「もう、私バカみたいじゃん。でも、良かった。これでレ・○カオのチョコ食べられるもん」
「え?僕にくれるんじゃないの?」
高砂君が慌てて手を伸ばす。
「高砂君、断った人のチョコ貰うつもりですか?顔や値段で選ぶ男、なつみにdoes not suit(似合わない)です。私も高砂君、断ります」
「……んだよ。どっちか選べって、高い方が良いに決まってんだろ。もう、いらないよ」
高砂君は舌打ちして、鉄の扉に向かった。
「あらら、私のためだったの?……やっぱ、男より友情だよ。一緒にチョコ食べよう」
「はい。私に親切してくれた女の子、なつみが初めてです」
ローレライの瞳に、いつもの翳りは無かった。
「バレンタイン大好き。あらら、ありがとう」
あららの手をギューッと握る。
「私もバレンタイン大好きです」
季節外れの春風のようにローレライが微笑んだ。
了
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