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初めて作った生チョコと、お菓子の意味
「さて!じゃあまずは一番簡単な生チョコの作り方から教えましょうかね!って……流石に生チョコくらいは作れるかしら?」
「……いえ」
恥ずかしながら。生チョコを作ったはずなのに、毎回かちんこちんになります。
「なら生チョコからいきましょう!」
「はい!頑張ります!」
弓弦さんから借りたエプロンを付けて、袖をまくり上げる。
髪も弓弦さんとお揃いで一つ結びにして、材料をキッチンに並べた。
きっといつも弓弦さんは、このキッチンでコーヒーを入れたり。美味しいお菓子を作ったりしてるんだろう。
そんな場所に、弓弦さんと一緒に立っている。
私、いつもはただのお客様なのに。なんだか今日は特別な気がして、少し胸がドキドキする。なんだろコレ?緊張してるのかな?
「じゃあまず、チョコは細かく刻んでボウルに入れます」
「はい!」
マズい、いきなりの難問。なかなか切れない。
「有紗ちゃん!そんな持ち方したら危ないわよ?いい?こうやって猫の手で切るのよ?」
「猫の手?こう……ですか?」
「そうそう!」
弓弦さん、教え方優しい。
「じゃあ生クリームを鍋であっためて?」
「はい!」
「まわりがぷくぷくしてきたら、火を止めるのよ?」
「クスッ。ぷくぷくって……言い方可愛いですね」
「もうやだぁ~!可愛いじゃなくて美しいって言ってほしいわ!」
「えぇ~今のは可愛いです!」
「あらそう?まぁでも可愛いも嬉しいから良いわ!ありがと」
きゅっ。
「……あ、はい」
今、胸が締め付けられたような感覚がした。
「有紗ちゃん!火!」
「え!あ、はい!!」
この感覚、知ってる。
ーー私、もしかして。
「じゃあ今度は、温めた生クリームに刻んだチョコを入れて溶かすわよ」
「は、はい!」
弓弦さんの事、好きになってる?
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