お菓子に想いを込めてーー。

初めて作った生チョコと、お菓子の意味

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弓弦さんに教わって作った生チョコの味は、私が作ったとは思えないくらい美味しかった。

「有紗やるじゃん！」

「いやいや。弓弦さんが教えてくれたからだよ」

あの日出来た生チョコは、私と弓弦さん、そして恵にも食べてもらった。

初めて自分の作ったものが『美味しい』と言われた。初めて自分が作ったもので、人を笑顔にした。

それがとても嬉しくて仕方ない。

「弓弦さん、有難うございます」

「お礼を言うのはまだ早いわよ？今度はトリュフチョコを作るんだからね！」

「はい！」

弓弦さん。
一緒にお菓子作りをするまでは、ただただ憧れる男性ってだけだったのに。
今は、顔を見るだけでドキドキして仕方ない。

いつものガトーショコラも、今日はなんだか特別に美味しく感じる。

「ねぇ有紗ちゃん。恵ちゃん。バレンタインにあげるお菓子に、それぞれの意味がある事は知ってる？」

「なんですか？それ？」

弓弦さんの言葉に、私と恵は興味津々に耳を傾ける。

「バレンタインの日にキャンディーをあげると『あなたが好き』マカロンだと『あなたは特別な人』キャラメルだと『一緒にいると安心する』クッキーだと『友達でいよう』マシュマロだと『あなたが嫌い』って意味になるのよ？」

「へぇ～！初めて知った」

「でも、それを知ってマシュマロをあげるのは……なんかアレだね」

「確かに」

というかそもそもバレンタインの日に、嫌いな人にわざわざマシュマロを買ってまで上げる人なんているのだろうか？

「でもね？チョコ入りのマシュマロだと、意味が全然違うのよ？」

「え？どういう意味になるんですか？」

「チョコ入りのマシュマロの意味はーー『純白の愛で包み込む』」

「純白の……愛」

「そう！ロマンチックよねぇ～」

頬に手を添えて目をキラキラさせる弓弦さん。その顔は、まるで恋する乙女の様。

その相手が、私だったらいいのに。

「私、次のバレンタインは好きな人にチョコ入りのマシュマロあげる」

「え！？」

「あらぁ～～！いいわね！頑張りましょ！有紗ちゃん！」

「はい！」

今度のバレンタインは必ず、弓弦さんへ美味しいチョコ入りマシュマロをあげて、恋を実らせてみせるんだ。