左手に持ったマシュマロと、ピンキーリング

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左手に持ったマシュマロと、ピンキーリング

それから、私と弓弦さんのお菓子作りの特訓は続いた。 トリュフ、フォンダンショコラ、カップケーキ、クッキー、タルト、マカロン、マドレーヌ。色んなものを作っては失敗して、それでも最後には美味しく出来て、恵にも弓弦さんにも喜んでもらえた。 一人でも作れるようになるために、家でも色んなお菓子を作った。 もう、昔の私とは違う。 今は、どんなに手間暇かけたお菓子でも一人で作れる。 「さぁ、ここが勝負どころよ。私」 明日は待ちに待ったバレンタイン。 今までずっとお菓子作りを教えてくれた弓弦さんに、お礼とそして今の私の気持ちを伝える為、心を込めてお菓子を作るんだ。 「って、一番大事なマシュマロが無い!」 チョコだけ買って、一番大事なものを買い忘れてしまっていた。 「仕方ない。コンビニで買おう」 私は慌てて財布を持って、近所のコンビニに走った。 いつも見慣れたコンビニも、バレンタインが近いこともあってか。いつもよりお洒落な包装紙で包まれたお菓子やワインが沢山置かれていて、とても華やかに見える。 けれどそんな華やかなに負けないくらい、一際目立って美しい人が。丁度マシュマロが置いてある棚をジッと見つめていた。 「ゆ、弓弦さん……」 いつものエプロン姿とは違って、お洒落な真っ白なコートに身を包み。髪も下ろしている弓弦さん。よく見ると小指に指輪が付いている。ピンキーリングというやつだろうか? 「制服姿も好きだけど、私服もいいなぁ……」 なんて、陰からこっそり見つめていると。弓弦さんのスマホが鳴って、思わず隠れてしまった。
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