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おまけの話
「よかったの有紗?マスターに気持ち伝えなくて」
「な、なんで知ってるの!?」
「いや、バレバレだから」
「もうぅ~~。恵には隠し事出来ないなぁ……」
あれから弓弦さんは、お菓子の袋を持って出かけてしまった。
きっと、あの時の電話の相手と会うのだろう。
「ねぇ、じゃあ恵は弓弦さんに相手がいるのも知ってたの?」
「あぁ……まぁ……なんとなく、そうなんだろうなぁ的な?」
「恵怖い!」
「まぁ私の方が通ってる歴長いからね」
「どんな人とかは?」
「いや、顔とかは知らないけど。多分……彼氏?なんじゃない?」
「あぁでも弓弦さん美人だから、なんか分かるかも」
そうなると、ピンキーリングはお揃いで付けてるのかな?
「あぁ~~羨ましいぃ」
「なに?有紗、まだ男欲しいって思ってんの?」
「その言い方止めて」
「あはは!ごめん!」
「まぁでも、今は彼氏とかはいいかなぁ。私の事本気で好きになってくれる人がいたら、また考えるけど」
その時、恵の足がピタリと止まった。
「ねぇそれはさ、相手が女の子でも考えてくれる?」
「え?」
そう言って私の方に振り向いた恵の右手には、色とりどりの袋に包まれたキャンディーが、閉じ込めていた気持ちを少しづつ伝えるように転がって、私の手の中へ落ちてきた。
バレンタインの日にあげるキャンディーの意味は確かーー。
「貴女が好きです!」
「え、えぇ!!///」
口に入れたキャンディーは、ほんのり甘酸っぱい味がした。
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