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あとは女子どもが、受け取ってもらえなかったチョコを自分らで食ったら、俺たちの復讐が完了する。
「鈴木くん、浜野くん。例の取引、忘れてないでしょうね。あんたたちに協力したら、2人のカラミ写真撮らせてくれるってやつ、ちゃんとやってよね」
スマホを構えた村部が、気合い十分に俺たちに近づいてきた。
「リクエストは、『冷ややかな目の鈴木くんが 、鈴木くんを睨みつける浜野くんにチョコをアーンって食べさせる』だから。はいこれ小道具のチョコ」
有無を言わさず押し付けられた村部のチョコは、バレンタインチョコとしてカウントして良いのだろうか。
いや、これは俺たちのBL撮影会の小道具だ。
何もバレンタインのお題で妄想する事ないのに。
大嫌いだ!バレンタイン!
村部の指示でケンジはワイシャツのボタンを二つ外した。俺は雪が見える窓辺でケンジを壁ドンしなければいけないらしい。
「ホッ、ホワイトバレンタインだよぉぉぉぉお!!」
指示通りのポーズを決めると、興奮した村部が角度を変えつつスマホを連写する。
BL撮影会に、女子たちから異様な熱視線を注がれる。
雪よ。
俺たちを今すぐ覆って隠してくれ。
「タケシ、我慢しよう。俺たちの復讐はこれで終わったじゃないか。明日はまた平凡な素晴らしい日だ」
そうだな。涙を隠し、俺たちは女子どもがチョコをかじる瞬間を見届けよう。
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