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しばらくしたら、廊下を大勢でバタバタ走る音が聞こえてきた。
カイ先輩にチョコを渡しに行っていた女子どもだ。
教室に入る前から、大げさな泣き声が聞こえる。見ればみんなで抱き合って、互いに慰め合いながら帰ってきた。
「やっぱり今年も、カイ先輩チョコレート受け取ってもらえなかった~」
「あぁーんっ! でも、断る時のカイ先輩も超優しかった……」
「カイ先輩の『ありがとう』と『ごめんね』の笑顔、国宝級だよ……」
ざまあみろ。ぐすんぐすんと泣きじゃくる女子どもを横目に、俺とケンジはグッと親指を立てた。
馬鹿め。お前らモブ女子には恐れ多い存在なんだ。天上人にチョコなど持って行きやがって。恥を知れ。
天上人のカイ先輩は、超A級の美女が常に周りに張り付いていて、その美女達からもらう一流ブランドの品物しか受け取らないという。(あくまで都市伝説)
ついでにバレンタインはカイ先輩の誕生日だから、バレンタインのチョコよりも誕生日プレゼントの方が受け取ってくれる確率が高いという。(これも都市伝説)
そんでもってどうしても受け取ってもらいたいなら、チョコじゃなくてA5ランクの和牛を用意した方がいいらしい。(言わずもがな都市伝説)
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